エラー、ヒット、ヒット、ノーアウト満塁
お笑い芸人・杉浦双亮の挑戦記<5>
トライアウト初登板は7回からだった。いきなりエラーでランナーを出し……<全4ページ>
超ファインプレー
ノーアウト満塁。結局、どうなったかというと、次のバッターの打球は僕のカーブを完璧に捉え右中間に抜けた……と思った瞬間、セカンドの超ファインプレーでダブルプレー。一瞬にしてツーアウト1、3塁になり、次のバッターをショートゴロ。無失点で切り抜けることができた。
僕の気持ちはますます、高ぶっていた。
いままでだったら絶対に大量失点になっていたような場面で、一流のプレーが僕を救ってくれた。レベルの高い野球をやらせてもらっていることに、嬉しさがこみ上げてきて、ベンチに戻ってセカンドの選手に「ナイスプレー!」と大声を掛けていた。
初日の成績、1回2被安打無失点。
この成績がいいのか悪いのか分からなかったけれど、この日から選手たちの対応が変わったように思う。声を掛けてくれるようになり、少しずつ受け入れてくれるような雰囲気が生まれていたのだ。
「本気でトライアウトを受けにきてくれていたのが分かった」
現役の選手にそう言われた。
実際は、体力測定あたりから少しずつそういう思いを持ってくれていたらしい。ただただ必死にやる僕の姿に、「ふざけて来ているんじゃないんだ」と感じたそうなのだ。実際の僕はただただきつかったのだけど……(笑)。
とはいえ僕自身、ハナからふざけて受けるなんて考えは毛頭なかった(ここで、毛頭は最初からないだろ、とか思った人、真剣に読んでくださいね(笑))。夢を追う最後のチャンスだと思い、真剣に受けようと思っていた。だから、そういう若い選手たちの気持ちに気付いていなかった。「そうか、そういうふうに捉えられることもあるのか」と少し反省したくらいだ。
そんなたくさんの収穫があったトライアウト二日目。そのなかでもなにより大きかったのは、野球が楽しくて仕方ない、大好きなんだ、と再発見できたことだった。
うーん、トライアウトの話、終わるかな(笑)。
とりあず現在の僕は合同自主トレを経て、ついにキャンプイン。指にマメを作ってしまい、まだ投げ込みができていないけれど、なんとか必死にくらいついているところです。また、あの最高に楽しいマウンドに上がるために。
では、また次回!